YZF-R125(5D7W)のカウルやパネルの数は、何と片側5枚、左右で10枚にもなり、その多さは他のバイクに比べ突出しています。
(フロント・リアカウル、フロント・リアパネルを含まず。)
<カウル・パネルの図>
R125.comより引用
見た目はかっこ良いのですが、整備性は良いはずもなく、外すのも一苦労。
ご自身で作業される方の多くが、外すのが面倒臭いと思われているのでは。(笑)
とはいえ、外さないことには各種整備ができないので、避けては通れない作業となります。
いくつかの作業を経て、取外し・取付けを繰り返したので、その方法と気が付いたことをまとめました。
この記事より、以下を知ることができます。
- サイドカウル・パネル等の外し方
- 外したカウル・パネル等を傷付けない工夫
- 外したボルト等を無くさない工夫
- プッシュリベットの外し方・付け方
作業日 | 2021年5月3日 |
目的 | メンテナンス・故障・修理 |
Shop or DIY | DIY |
難易度 | |
作業時間 | 30分以内 |
費用 | 3,555円 |
1. 使うもの
No. | 名称 | メーカー | 型番 | 数量 | 金額[円] | 今回購入 |
1 | ロングヘキサゴンビットソケット (4mm) | KTC | BT3-04L | 1 | 1,485 | ○ |
2 | ハンドル | KTC | AB-53 | 1 | 1,430 | ○ |
3 | ヘキサゴンビットソケット (4mm) | KTC | BT3-04S | 1 | 1,012 | |
4 | クイックスピンナ | KTC | BE3-Q | 1 | 2,046 | |
5 | ノックピンポンチ (3mm) | KTC | PK-3135 | 1 | 1,173 | ○ |
6 | ブラケットカバー (いす足) | ダイソー | – | 1式 | 110 | ○ |
7,256 | 4,198 |
※車載工具の6角レンチとピンポンチの代わり(割りばし等)があれば、本作業はできます
2. サイドカウル・パネル等の外し方(STEP 1~28)
取外し・取付けの順番
作業を始める前に取外し・取付けの順番を記載します。
私はいつも以下の順番で取り外し、おおよそ逆の順で取り付けています。
オーナーズマニュアルにも外す手順が書かれていますが、その手順だと少し外し難いんですよね…
<右側側面>
- シート
- サイドパネル
- サイドカバー
- アッパーサイドカウル
- ボトムカウル
- ロアサイドカウル
外す順番は人それぞれの好みがあると思いますが、正解はありません。
やり易い方法を見つけるのもまた楽しみ。
シート外し
それでは作業を始めます。
以下、断りがなければ、右側の作業となります。
まず、シートを外します。
<シート外し>
キーを差し込んで、90度時計回りに回して、持ち上げます。
サイドパネル外し
次にサイドパネルを外します。
サイドパネルはボルト(3ヶ所)で固定されています。
<サイドパネル外し>
ヘキサゴンソケット(4mm)を付けたTバーハンドルで、シート下のボルト及び側面のボルト(2ヶ所)を外します。
そして、サイドパネルを手前に引き出し、外します。
ボルトのカラー
<カラー>
シート下及び真ん中のボルトについては、カラーが付いています。
シート下のカラーは常に外れますが、真ん中はサイドパネルに残っているので、失くさないよう注意します。
ちなみに、私のバイクは左側の真ん中のカラーが外れてしまいます。
サイドカバー外し1
次に、サイドカバーを外します。
サイドカバーは、タッピングスクリューとボルト(2ヶ所)で固定されています。
<サイドカバー外し1>
ヘキサゴンソケット(4mm)を付けたTバーハンドルで、側面のボルト(2ヶ所)を緩めます。
この時点では外しません。
サイドカバー外し2
<サイドカバー外し2>
ヘキサゴンソケット(4mm)を付けたTバーハンドルで、下側のタッピングスクリューを外します。
通常のソケットを使うと、ロアサイドカウルに当たり易いので、ロングヘキサゴンソケットを準備しました。
そのあと、側面のボルト(2ヶ所)を外し、サイドカバーを外します。
薄くて何となくつかみ難いので、落とさないように注意します。
ブラケットのカバー
次にアッパーサイドカウルを外します。
アッパーサイドカウルは、上側のタッピングスクリュー(3ヶ所)と側面のボルト(2ヶ所)で固定されていて、ウィンカーの配線がつながっています。
<ブラケットのカバー>
サイドカバーのブラケットに100円均一で購入したブラケットカバー(いす足)をかぶせます。
アッパーサイドカウルを外した時に、ぶつけて傷が付くことを防ぎます。
アッパーサイドカウル外し1
<アッパーサイドカウル外し1>
ヘキサゴンソケット(4mm)を付けたTバーハンドルにて、側面のボルト(2ヶ所)を緩めます。
この時点では、外しません。
アッパーサイドカウル外し2
<アッパーサイドカウル外し2>
フロントパネルと共止めになっているタッピングスクリュー(2ヶ所)を外します。
○: ヘキサゴンソケット(4mm)を付けたTバーハンドルで
○: ヘキサゴンソケット(4mm)を付けたクイックスピンナで
アッパーサイドカウル外し3
<アッパーサイドカウル外し3>
ヘキサゴンソケット(4mm)を付けたクイックスピンナで、フロントカウルの先端にあるタッピングスクリューを外します。
そのあと、ヘキサゴンソケット(4mm)を付けたTバーハンドルにて、側面のボルト(2ヶ所)を外します。
外したタッピングスクリュー
<外したタッピングスクリュー>
左: STEP 9 ○部
中: STEP 9 ○部
右: STEP 10 フロントカウルの先端にあるもの
タッピングスクリューはSTEP 10の部分だけ短いので注意します。
アッパーサイドカウル外し4
<アッパーサイドカウル外し4>
アッパーサイドカウルを前方に押し出してから、手前に引き出すと外れます。
アッパーサイドカウルの切り欠きをフロントカウルの穴に差し込む構造となっています。
(詳しくは、整備記録「サイドカウル・パネル等の付け方」のSTEP 13をご覧ください。)
ウィンカーのコネクター外し
<ウィンカーのコネクター外し>
そして、ウィンカーの配線のコネクターを外します。
爪の部分を押し下げながら、引っ張ります。
これで、アッパーサイドカウルが外れます。
なお、コネクターの色は、左右で異なります。
右側: 緑
左側: 黒
アッパーサイドカウル養生
<アッパーサイドカウル養生>
外したアッパーカウルの先端が地面に当たるので、傷が付かないよう、カバーをかぶせます。
いす足は4個セットなので、事足ります。
これから幾度となく外すと思うので、こういうところに気を遣い、できるだけバイクに傷が付くのを防ぎます。
ここで、必要に応じて左側のカウル・パネルを同じように外します。
ボトムカウル外し1
次にボトムカウルを外します。
ボトムカウルはボルト(4ヶ所)で固定されています。
<ボトムカウル外し1>
ヘキサゴンソケット(4mm)を付けたTバーハンドルで、側面のボルト(4ヶ所)を外します。
ボトムカウル外し2
<ボトムカウル外し2>
カウルに通してあるホースを抜きます。
これで、ボトムカウルが外れます。
ボトムカウル外し3
<ボトムカウル外し3>
なお、左側については、
- カウルにホースが2本通してある
- サイドスタンドがある
のが、右側と違うことろです。
特にサイドスタンドを通す時は、地面にカウルをぶつけないよう十分注意します。
ロアサイドカウル外し1
次にロアサイドカウルを外します。
ロアサイドカウルは、ボルト、タッピングスクリュー及びプッシュリベット(3ヶ所)で固定されています。
<ロアサイドカウル外し1>
底の部分にある左側と共止めになっているプッシュリベット(2ヶ所)を、ピンポンチ(3mm)で外します。
真ん中のピンを押し込めば、ロックが解除され、外すことができます。
4mmのピンポンチを使いたかったのですが、長くてカウルの下に入らなかったので、3mmを使いました。
プッシュリベットの構造
<プッシュリベットの構造>
プッシュリベットの外し方・付け方をまとめておきます。
左: 取付状態…くさびが働き抜けない
中: 外す時…ピンを押し込んでから、リベットを外す
右: 付ける時…リベット取り付け後、ピンを押す
ロアサイドカウル外し2
<ロアサイドカウル外し2>
○: ヘキサゴンソケット(4mm)を付けたクイックスピンナで、左側と共止めのタッピングスクリューを外します
○: ヘキサゴンソケット(4mm)を付けたTバーハンドルで、ロアサイドカウルの側面のボルトを外します
ロアサイドカウル外し3
<ロアサイドカウル外し3>
手でロアサイドカウルを押さえながら、プッシュリベットをピンポンチ(3mm)で押し込み、外します。
これで、ロアサイドカウルが外れます。
ロアサイドカウル外し4
<ロアサイドカウル外し4>
なお、左側については、既に右側と別れていることから、以下の2ヶ所のみで外れます。
○: ヘキサゴンソケット(4mm)を付けたTバーハンドルで、ロアサイドカウルの側面のボルトを外します
○: プッシュリベットをピンポンチ(3mm)で押し込み、外します
左側のボルト・プレートワッシャー
<外した左側のボルト・プレートワッシャー>
この部分はカウルの穴の周囲が凹んでいて、しかも穴が大きな長方形となっているため、プレートワッシャーがひどく変形しています。
でも、要はなすと考え、そのまま使っています。
右側のロアサイドカウルの穴
右側も同じような状態ですが、プレートワッシャーは変形しません。
<右側のロアサイドカウルの穴>
以前は、前のオーナーが、穴を広げたと思い込んでいましたが、穴の壁面に
- 表面と同じように塗装がされている
- やすり等で削られた縦傷がない
ことから、最初からそういう形だったのでしょう。
外したカウル他
<外したカウル他>
こんな感じでサイドカウル・パネル他が外せました。
やっぱり、これだけ外すのは、大変ですよね。
部品を置くだけでも、結構な場所をとります。
外したボルト他
<外したボルト他>
外したボルト他はなるべく外した順番もしくは部位毎に、パーツトレーに置いています。
今回、合計で37個ありました。
このパーツトレー、実は100円均一で購入した製氷皿なんですが、とても使い勝手が良くてお勧めです。
2列なので、左右に分けて使えるのが良いですね。
プレートワッシャーの有無
<プレートワッシャーの有無>
プレートワッシャーはボルト・タッピングスクリューに付いているところと、付いていないところがあります。
左: プレートワッシャー有…材質がABSの場合(カウル)
右: プレートワッシャー無…材質がPPの場合(パネル)
となるようです。
カウル・パネル等を外した状態
<サイドカウル・パネル等を外した状態(前方から)>
カウルを外すと、かなりスリムなことに気が付きます。(笑)
<サイドカウル・パネル等を外した状態(後方から)>
この状態であれば、
- エンジンオイルの交換
- プラグ点検・交換
- 冷却水交換
等がすぐに始められます。
3. まとめ
長文をご覧頂き、有難うございました。
カウル・パネルを外すだけで、28 STEPも書いてしまいました。
改めてカウル・パネルの多さを実感しました。
取外し・取付けに慣れてしまったので、個人的には、そんなに億劫ではないのですが、外したカウル・パネルを置く場所にいつも頭を悩ませています。
- 外す時にカラー・プレートワッシャーを無くさないよう注意
- 外したカウル等の養生にもこだわりたい
- 外したボルトを管理するため、パーツトレーを準備することをお勧め