時々、リアブレーキから、「キーキー」と異音がすることがあります。
ブレーキの掛け始めではなく停止する直前に鳴るので、周りの人が音に反応して、振り向いちゃうんですよね。
とても恥ずかしいので、整備することにします。
異音の原因は色々と考えられますが、まずは、ブレーキキャリパーを点検・清掃し、ブレーキピストンの動きを良くします。合わせてブレーキパッドの状態・厚さも確かめます。
この記事より、以下を知ることができます。
- リアブレーキキャリパーの外し方
- リアブレーキパッドの外し方
- リアブレーキキャリパーの構造
- リアブレーキの清掃方法
作業日 | 2023年 8月 21日 |
目的 | メンテナンス・故障・修理 |
Shop or DIY | DIY |
難易度 | |
作業時間 | 2時間 |
費用 | 0円(持っているものを使用) |
1. 使うもの

No. | 名称 | メーカー | 型番 | 数量 | 金額[円] |
1 | スライドヘッドハンドル | KTC | BHM3 | 1 | 2,970 |
2 | クイックスピンナ | KTC | BE3-Q | 1 | 2,046 |
3 | エクステンションバー (250mm) | KTC | BE20-250 | 1 | (2,783) |
4 | ヘキサゴンビットソケット (5mm) | KTC | BT3-05S | 1 | 1,045 |
5 | 樹脂柄ドライバー (6mm幅マイナス) | KTC | DMD-100 | 1 | (1,584) |
6 | プライバー | ストレート | 19-050 | 1 | 1,850 |
7 | 中性洗剤 | – | – | 1 | 109 |
8 | パーツクリーナー | モノタロウ | – | 1 | 296 |
12,683 |

2. リアブレーキ点検・清掃1【取外し・清掃】(STEP1~23)
リアブレーキの状態

<リアブレーキ>
見た感じ、リアブレーキパッドは、まだあるようです。
また、ブレーキローターも変色や大きなゆがみはないようです。
作業手順
以下の手順で進めることにします。
- ブレーキキャリパー・パッド周りの部品を外す・緩める
- ブレーキキャリパーブラケットごと、車体から外す
- ブレーキパッドを含め、できるだけ部品を外して清掃する
- 逆の順で戻す
なお、ブレーキホースは外さず、つながった状態で、作業します。
スライドピンのキャップ外し
それでは、作業に取り掛かります。

<スライドピンのキャップ外し>
後方のスライドピンのキャップを、指で外します。
キャップの突起部分を、納車して早々に折ってしまったので、穴が開いています。(涙)
キャップを外した状態

<キャップを外した状態>
中にはグリスが付いていました。
前期のサービスマニュアルのグリスの指定に「S」とあったので、白いシリコングリスをイメージしていたのですが、グリスは茶色でした。
後方のスライドピン緩め

<後方のスライドピン緩め>
ヘキサゴンソケット(5mm)を付けたT型ハンドルで、後方のスライドピンを緩めます。
この時点では緩めるだけで、後から外します。
パッドピンのプラグ外し

<パッドピンのプラグ外し>
マイナスドライバー(刃幅6mm)で、パッドピンのプラグ(2ヶ所)を外します。
振動のせいでしょうか、簡単に緩んでしまいました。
パッドピン緩め

<パッドピン緩め>
ヘキサゴンソケット(5mm)を付けたT型ハンドルで、パッドピン(2ヶ所)を緩めます。
スライドピンと同じく、緩めるだけで後から外します。
前方のパッドピンは、T型ハンドルを使うと、バーがマフラーに当たりそうになります。(○部)
なので、ヘキサゴンレンチで緩めた方が良いかもしれません。
そう言えば、今まで作業をしてきて、何回かマフラーに悩まされた気が…
- スタンドフックの穴加工時に、ドリルが当たった
- リアスタンドを掛ける時に、V受け2の先端が引っ掛かる
ブレーキキャリパー持上げ
ところで、話が横道にそれますが、試しにスライドピンとパッドピンを外して、前方のスライドピンを軸にブレーキキャリパーを持ち上げてみました。

<ブレーキキャリパー持上げ>
結果、インターネットの情報の通り、ブレーキホースがスイングアームに当たってしまいました。(○部)
なので、ブレーキキャリパーが十分に持ち上がらず、
- ブレーキパッドは外せるものの
- ブレーキキャリパーは、ブレーキキャリパーブラケットもしくはブレーキディスクに当たって外せない感じです
ボトムカウル外し
それでは、話を戻して作業を進めます。

<ボトムカウル外し>
念のため、右側のボトムカウルを外します。
ブレーキキャリパーを外した後に、ボトムカウルに当たって傷を付けたくなかったので。
(詳細は整備記録「サイドカウル・パネル等の外し方」STEP15~17をご覧ください。)

リアホイール外し

<リアホイール外し>
次に、ブレーキキャリパーブラケットを外すため、リアホイールを取り外します。
そして、リアフェンダー側面のブレーキホースのホースクランプを外し、ブラケットをスイングアームから取り外します。
外したブレーキキャリパーブラケット

<外したブレーキキャリパーブラケット>
ブレーキホースがつながっているので、取り回しに制限はありますが、こんな感じで外せました。
ジャッキスタンドに乗せておくと、姿勢が安定するので、ホイールを外す時はいつもこうしています。
後方のスライドピン外し1
それでは、ブレーキキャリパーブラケットに付いた各部品を外していきます。

<後方のスライドピン外し1>
STEP 5で緩めておいたスライドピンをさらに緩め、指で引っ張って外します。
後方のスライドピン外し2

<後方のスライドピン外し2>
スライドピンを外す時、ブーツとブレーキキャリパーブラケットの間にワッシャーがあるので、紛失注意です。
初めての作業で、いきなりワッシャーを落としてしまい、1m程転がって側溝の穴にホールインワン。
手持ちのピックアップツールが使えたから良かったものの、ワッシャーを救出するのに一苦労しました。
信じられないようなところに、落とした部品が吸い込まれて行くのはなぜ?(笑)
パッドピン外し

<パッドピン外し>
STEP 7で緩めておいたパッドピン(2ヶ所)をさらに緩め、指で引っ張って外します。
パッドピンの表面はそんなに荒れていませんでした。
ブレーキパッド外し

<ブレーキパッド外し>
- パッドピンを外した時点で、内側のブレーキパッドが外れます
- ブレーキキャリパーを持ち上げて、外側のブレーキパッドを外します
ブレーキキャリパー外し

<ブレーキキャリパー外し>
ブレーキキャリパーを持ち上げた状態で、
- ブーツをブレーキキャリパーブラケットの溝から外し
- キャリパーをブラケットから外します
前方のスライドピンの状態

<前方のスライドピンの状態>
ブレーキキャリパーブラケットにある前方のスライドピンには、グリスがしっかりと付いていて、錆びもありませんでした。
スライドピンは穴側を含め前後とも良好な状態でした。
パッドスプリング外し

<パッドスプリング外し>
プライバーで、ブレーキキャリパーの中に収まっているパッドスプリングを外します。
外す前に向きを確かめることを忘れずに。
外した部品

<外した部品>
今回外した全ての部品となります。(ブレーキキャリパーを除く)
ブーツ切れもなく、いずれの部品も問題なさそうです。
ブレーキパッド
ブレーキパッドの状態を確かめます。

<ライング側>
「キーキー」音の原因となりそうな、変摩耗や小石等のかみ込みはなさそうです。
ということは、ブレーキピストンの動きに問題があった?
また、パッドの厚みは、以下の通りでした。
内側: 3.1mm
外側: 2.6mm
オーナーズマニュアルから摩耗限度は1mmなので、真ん中の溝が消える位まで使えるはず。
また、「1.5mmを切ったらディーラーで交換してね」と書かれていました。
もうちょっと行けそうですが、そろそろ、替えを用意しておいた方が安心ですね。

<バックプレート側>
バックプレートの色は灰色。
インターネットの写真とほぼ同じ色なので、恐らく純正部品だと思います。
残念ながら、表示の「H8121」と「562471」、「h+」から情報を得ることはできませんでした。
純正品番: 5D7-F5911-00
(前期と同じ品番なので、入手性は問題なさそう)
ブレーキキャリパー洗浄
それでは、外した部品を洗っていきます。
洗う前にブレーキペダルを押し、わずかにブレーキピストンを出しておくのがお勧め。※
ピストンとダストシールのきわの汚れを、シールの中に押し込むリスクを減らします。
※ブレーキペダルを何度も押してはいけません。ブレーキピストンが外れてしまいます。

<ブレーキキャリパー洗浄>
中性洗剤を付けて、ブレーキキャリパーを歯ブラシで洗います。
ブレーキピストン周りは特に念入りに。
ブレーキピストンの表面には黒いしみはありましたが、錆や荒れはありませんでした。
激しく汚れていないので、清掃は楽でした。
他の子部品やブレーキパッドも中性洗剤で洗います。
スライドピン洗浄

<スライドピン洗浄>
スライドピンやパッドピン等グリスが付いている部品は、パーツクリーナーで汚れを取り除きます。
スライドピンの穴洗浄

<スライドピンの穴洗浄>
スライドピン(2ヶ所)の穴をパーツクリーナーで清掃します。
今回、グリースを入れ替えるので、なるべく古いグリスが残らないようにします。
最後に他の部品を含め、水分を十分乾燥させます。
生乾きの状態で取付けてしまうと、水を中に入れてふたをしているのと同じことになってしまうので。
整備記録「リアブレーキ点検・清掃2【取付け】」へ続く。
3. まとめ
リアブレーキの取外し、ブレーキパッドの状態、清掃方法をまとめました。
部品の洗浄は中性洗剤を使いますが、ブレーキダストの汚れが激しい場合は、ブレーキクリーナーやパーツクリーナーを使います。
ただし、ブレーキクリーナーやパーツクリーナーの使用は最小限に抑えた方が、お財布にもゴム部品にも優しいです。
- ホイールを外さないと、ブレーキキャリパーをブラケットから外せない
- ブレーキピストンを洗う時は、ピストンをわずかに出すと、汚れを押し込むリスクが減る
- 洗浄は中性洗剤を使うと、ゴム部品を痛めない