リアに続き、フロントのブレーキフルードを交換します。
こちらも納車してから2年半が経過し、初めての交換となります。
ブレーキフルードの交換方法は、主に下記の3つありますが、今回は2の吸引式でブリーダーポンプを使った作業をまとめます。
- 圧送式…1)ブレーキレバー・ペダルを押す方法
2)リザーバータンクもしくはブレーキキャリパーから押し出す方法 - 吸引式…ブリーダープラグから負圧で吸い出す方法
- 重力式…フルードの自重で排出する方法
この記事より、以下を知ることができます。
- フロントブレーキのブレーキフルード交換方法
- ブリーダーポンプの使い方
作業日 | 2023年 9月 23日 |
目的 | メンテナンス・故障・修理 |
Shop or DIY | DIY |
難易度 | |
作業時間 | 1時間 |
費用 | 0円(持っているものを使用) |
- 1. 使うもの
- 2. フロントブレーキフルード交換(STEP1~31)
- ブレーキフルードがあふれて…
- 作業手順
- リザーバータンクの位置1
- リザーバータンクのキャップ外し1
- リザーバータンクのキャップ外し2
- ダイヤフラムブッシュ
- リザーバーダイヤフラム外し
- 外した部品
- ブレーキフルード吸取り
- リザーバータンク
- ブレーキフルード新旧比較
- ブレーキフルード開封
- ブレーキフルード補充
- ブリーダーポンプ
- ブレーキフルード交換準備1
- ブレーキフルード交換準備2
- ブリーダーポンプをつないだ状態
- ブレーキフルード交換1
- ブレーキフルード交換2
- 排出したブレーキフルード1
- 排出したブレーキフルード2
- ブリーダープラグ締付け
- ブリーダープラグ清掃
- 部品清掃1
- 部品清掃2
- リザーバータンク周り清掃
- ブレーキフルードのレベル
- ダイヤフラム他取付け
- リザーバータンクのキャップ他取付け
- リザーバータンクの位置2
- ブレーキフルード点検窓
- 3. まとめ
1. 使うもの

No. | 名称 | メーカー | 型番 | 数量 | 金額[円] |
1 | プラスドライバー (No.2) | KTC | PDD1-2 | 1 | 1,606 |
2 | シリンジ | ダイソー | – | 1 | 110 |
ST12 | ブレーキフルード (DOT4) | KYK | 58-052 | 1 | 857 |
3 | ラバーストラップレンチ | コメリ | SW-0510 | 1 | 998 |
4 | ブレーキニップルアダプター | ストレート | 15-7616 | 1 | 540 |
5 | ブリーダーポンプ (mityvac) | デイトナ | 24956 | 1 | (9,130) |
6 | めがねレンチ (10mm) | KTC | M25-10X12 | 1 | 2,020 |
7 | コンビネーションレンチ (10mm) | KTC | MS2-10 | 1 | 1,353 |
8 | 中性洗剤 | – | – | 1 | 109 |
9 | 歯ブラシ | – | – | 1 | 58 |
16,781 |
2. フロントブレーキフルード交換(STEP1~31)
ブレーキフルードがあふれて…

<あふれたブレーキフルード>
整備記録「フロントブレーキ点検・清掃2【取付け】」にて、ブレーキピストンをブレーキキャリパーに押し戻した際に、ブレーキフルードがあふれてしまいました。

なので、リザーバーキャップ・タンク周りの清掃も行います。
作業手順
以下の順番で進めます。
- ブレーキフルードリザーバータンクのフルード交換
- ブレーキホース・ブレーキキャリパー内のフルード交換
- 外した部品の清掃
- 外した逆の順で戻す
リザーバータンクの位置1
まずは、車体の姿勢から。
純正のリザーバータンクは、サイドスタンドを掛け、ハンドルを左に切った状態で、水平が出るように作られています。
なので、メンテナンススタンドに掛け、ハンドルを真っ直ぐにしたままリザーバータンクのキャップを外すと、ブレーキフルードがこぼれてしまうかもしれません。

<リザーバータンクの位置1>
ということで、まずはサイドスタンドを掛け、ハンドルを切った状態で作業を始めます。
リザーバータンクのキャップ外し1

<リザーバータンクのキャップ外し1>
プラスドライバー(No.2)で、リザーバータンクのキャップを止めるスクリュー(2ヶ所)を外します。
ドライバーがスクリーンに当たるため、ややハンドルを戻しました。
リザーバータンクのキャップ外し2

<リザーバータンクのキャップ外し2>
リザーバータンクのキャップを取り外します。
ダイヤフラムブッシュ

<ダイヤフラムブッシュ>
ダイヤフラムブッシュの上に、ブレーキフルードがついています。
通常、ここには入ってこないと思うのですが、ブレーキピストンを押し込んだ時に入ってしまったのでしょう。
リザーバーダイヤフラム外し

<リザーバーダイヤフラム外し>
ブッシュを取り外そうとしたら、リザーバーダイヤフラムも一緒に外れました。
ハンドルをほぼ真っ直ぐにすると、タンク内のブレーキフルードの表面が傾きます。
さらにリアスタンドを掛け水平の状態にすると、わずかにリザーバーダイヤフラムの表面にフルードが触れそうです。
なみなみとフルードを注いでしまうと、常にダイヤフラムの端がフルードに浸されてしまうかも?
外した部品

<外した部品>
左から、
- リザーバータンクのキャップ
- ダイヤフラムブッシュ
- リザーバーダイヤフラム
となります。
何れの部品も、傷や亀裂はありませんでした。
ブレーキフルード吸取り
それでは、ブレーキフルードの交換作業に取り掛かります。

<ブレーキフルード吸取り>
最初にシリンジで、リザーバータンク内のブレーキフルードを吸い取ります。
古いフルードがたくさん入った状態で新しいフルードを注ぐと、混ざってしまうので、交換する量が多くなってしまいます。
リザーバータンク

<リザーバータンク>
こんな感じで、完全に空にしてしまいます。
約20mℓ、抜けました。
ぺーパータオルで内壁に触れたら、タオルのカスが付いてしまった…(涙)
ブレーキフルード新旧比較

<ブレーキフルード新旧比較>
左: 抜いたもの
右: 入れるもの (KYK BF-4)
リアと同じようにフロントも変色していました。
光の加減かもしれませんが、リアよりも茶色い気がします。
ブレーキフルード開封
ブレーキフルードは一度開けてしまうと、次回使う時にキャップが固くて開けられなくなります。
吸湿性が高いそうですが、何か関係があるのかもしれません。

<ブレーキフルード開封>
今回も固くて開かないので、ラバーストラップレンチで開けます。
このラバーストラップレンチ、もともとは車のオイルフィルターを取り外すために買ったのですが、日常で、瓶の蓋を開けたりするのに活躍しています。
ブレーキフルード補充
それでは、リザーバータンクにブレーキフルードを注ぎます。

<ブレーキフルード補充>
こぼしても他の部分に付かないようウエスで被っています。
注ぐ時に極力気泡を噛まないように注意します。
マスターシリンダーやホース、ブレーキキャリパー中のフルードを排出するので、なみなみと注ぎます。
ブリーダーポンプ

<ブリーダーポンプ>
ブレーキフルードの吸引には、写真のブリーダーポンプを使います。
ブレーキフルード交換準備1
それでは、ブレーキフルードを交換する準備をします。

<ブレーキフルード交換準備1>
- ブリーダーキャップを外し
- メガネレンチ(10mm)で、ブリーダープラグを軽く緩めます
ブレーキフルード交換準備2

<ブレーキフルード交換準備2>
- コンビネーションスパナー(10mm)を通して
- ブリーダープラグに、ニップルアダプターを取り付けます
ブリーダーポンプをつないだ状態

<ブリーダーポンプをつないだ状態>
こんな感じで、ブリーダーポンプをつなぎます。
タンクの座りが良くないので、ハンガーで作ったホルダーに引っ掛けておきます。
ブレーキフルード交換1
では、ブレーキホース・ブレーキキャリパー内のブレーキフルードを交換します。

<ブレーキフルード交換1>
ブリーダーポンプをポンピングし、負圧を発生させます。
ブレーキフルード交換2

<ブレーキフルード交換2>
掛けておいたコンビネーションスパナーで、ブリーダープラグを緩めます。
すると、ブレーキフルードが排出されます。
排出したブレーキフルード1

<排出したブレーキフルード1>
しばらくすると、タンクにブレーキフルードが溜まります。
この時点で、70mℓ程抜きました。
排出したブレーキフルード2
恥ずかしながら、リアで失敗したにもかかわらず、フロントでもやってしまいました。
リザーバータンクのブレーキフルードがあっという間になくなり、「キュー」という音とともにエアを吸うという…
(しかも3回も!)
少し疲れているということにしてください。

<排出したブレーキフルード2>
結局、さらに70mℓ程抜くことに。
STEP 20の写真と比べるとほぼ、新しいフルードですよね、もったいない…
ブリーダープラグ締付け

<ブリーダープラグ締付け>
ブレーキフルードを交換したら、ブリーダープラグを締め付けます。
締付けトルクは6N・mの指定がありますが、私はいつも手感で締めています。
ブリーダープラグ清掃

<ブリーダープラグ清掃>
ブリーダープラグに付いたブレーキフルードを拭き取り、パーツクリーナーで清掃します。
部品清掃1
次に、外した部品を清掃します。

<部品清掃1>
中性洗剤で、付着したブレーキフルードや汚れを洗い流します。
部品清掃2
あとは、マイクロファイバークロスで水分を拭き取り、よく乾燥させます。

<部品清掃2>
リザーバーダイヤフラムは折り目を伸ばして、しっかりと水分を拭き取ります。
リザーバータンク周り清掃

<リザーバータンク周り清掃>
ペーパータオルで、リザーバータンクの縁についているブレーキフルードを丁寧に拭き取ります。
STEP 1で書いた通り、一度あふれているので、結構ブレーキフルードが付着していました。
それにしても、ペーパータオルのカスが、気になる…
ブレーキフルードのレベル
今回、リアスタンドを掛けて、ハンドルを真っ直ぐにした状態で、ブレーキフルードを注いでみました。

<ブレーキフルードのレベル>
ブレーキフルード点検窓の上側の縁まで注ぎました。
サイドスタンドを掛けた状態でハンドルを左へ切ると、どの位のレベルになるでしょうか。
結果はSTEP 31にて。
ダイヤフラム他取付け

<ダイヤフラム他取付け>
リザーバーダイヤフラム、ダイヤフラムブッシュの順に取り付けます。
リザーバータンクのキャップ他取付け

<リザーバータンクのキャップ他取付け>
プラスドライバー(No.2)で、リザーバータンクのキャップを止めるスクリュー(2ヶ所)を締め付けます。
リザーバーダイヤフラムが均一につぶされるよう、交互に少しずつ増し締めします。
これで、作業は終了です。
リザーバータンクの位置2
それでは、ブレーキフルードのレベルを見てみます。

<リザーバータンクの位置2>
サイドスタンドを掛けた状態でハンドルを左へ切り、横から見ると、こんな位置関係になります。
ブレーキフルード点検窓

<ブレーキフルード点検窓>
STEP 30の赤枠の拡大です。
ブレーキフルードのレベルは、MIN(下限)のちょっと上くらいになりました。
もうちょっと、ブレーキフルードを足さなきゃですね。
これで、ブレーキフルードを注ぐ目安ができたので、次回はもう少し多く注ぐことにします。
3. まとめ
フロントブレーキのブレーキフルードの交換方法をまとめました。
今回、ブリーダーポンプを使いましたが、不覚にもリザーバータンクのフルードを切らし、エアを吸ってしまいました。
R125のフルード容量は想像以上に少なかったので、レバーを動かして圧送(交換)しても、そんなに時間は掛からないかもしれません。
次回の交換時に試してみます。
- リザーバータンクのフルードもシリンジで吸い出す
- フルードをこぼしても、他の部分に付かないようウエスで被う
- フルードをリザーバータンクに補充する時は、気泡を噛まないように注意する
- リザーバータンクのフルードを切らさないよう注意する
(ブリーダーポンプを使うと、タンクのフルードがあっという間になくなる) - ブレーキパッドの摩耗が進んだ状態では、フルードの補充は中程までにする