リアブレーキを清掃しましたが、「キーキー」という異音が再発してしまいました。
そこで、今回はブレーキフルードを交換します。
気が付けば納車から2年半も経ちましたが、この間、フルードを交換していませんでした。
ブレーキフルードの交換方法は、主に3つあります。
- 圧送式…1)ブレーキレバー・ペダルを押す方法
2)リザーバータンクもしくはブレーキキャリパーから押し出す方法 - 吸引式…ブリーダープラグから負圧で吸い出す方法
- 重力式…フルードの自重で排出する方法
インターネットでは、1-1)で書かれている記事が多いのですが、今回は2の吸引式でブリーダーポンプを使った作業をまとめます。
この記事より、以下を知ることができます。
- リアブレーキのブレーキフルード交換方法
- ブリーダーポンプの使い方
作業日 | 2023年 9月 17日 |
目的 | メンテナンス・故障・修理 |
Shop or DIY | DIY |
難易度 | |
作業時間 | 1時間 |
費用 | 0円(持っているものを使用) |
1. 使うもの

No. | 名称 | メーカー | 型番 | 数量 | 金額[円] |
1 | ハンドル | KTC | AB-53 | 1 | 2,431 |
2 | ロングヘキサゴンビットソケット (4mm) | KTC | BT3-04L | 1 | 1,529 |
3 | シリンジ | ダイソー | – | 1 | 110 |
4 | ブレーキフルード (DOT4) | KYK | 58-052 | 1 | 857 |
5 | ブレーキニップルアダプター | ストレート | 15-7616 | 1 | 540 |
6 | ブリーダーポンプ (mityvac) | デイトナ | 24956 | 1 | (9,130) |
7 | ブリーダープラグ用めがねレンチ (8mm) | KTC | ABX7-08 | 1 | 3,179 |
8 | コンビネーションレンチ (8mm) | KTC | MS2-08 | 1 | 1,287 |
9 | パーツクリーナー | タイホーコーザイ | 829 | 1 | 428 |
19,491 |


2. リアブレーキフルード交換(STEP1~24)
右サイドパネル外し

<右サイドパネル外し>
まずは、右側のサイドパネルを外します。
外さなくても作業はできますが、外した方がブレーキフルードを注ぎ易いです。
詳しくは整備記録「サイドカウル・パネル等の外し方」STEP 2~4をご覧ください。

作業手順
以下の順番で進めます。
- リザーバータンクキャップ他取外し
- ブレーキフルードリザーバータンクのフルード交換
- ブレーキホース・ブレーキキャリパー内のフルード交換
- 外した部品の清掃
- リザーバータンクキャップ他取付け
リザーバータンク外し
それでは作業に取り掛かります。

<リザーバータンク外し>
ヘキサゴンソケット(4mm)を付けたハンドルで、リザーバータンクを固定するボルトを外します。
リザーバータンクのブラケットは、キャップの外れ止めも兼ねています。
なので、キャップを外すためには、リザーバータンクを外す必要があります。
リザーバータンクキャップ外し1

<リザーバータンクキャップ外し1>
- リザーバータンクを手間へ引っ張り出し
- リザーバータンクのキャップを反時計回りに回します
リザーバータンクキャップ外し2

<リザーバータンクキャップ外し2>
キャップを外したら、中のリザーバープレートとリザーバーダイヤフラムが一緒に外れました。
外した部品

<外した部品>
左から、
- リザーバーダイヤフラム
- リザーバープレート
- リザーバータンクのキャップ
となります。
いずれも、傷や亀裂はなかったので、再使用します。
ブレーキフルード吸取り
それでは、ブレーキフルードの交換作業に取り掛かります。

<ブレーキフルード吸取り>
最初にシリンジで、リザーバータンク内のブレーキフルードを吸い取ります。
リザーバータンク

<リザーバータンク>
こんな感じで、完全に空にしてしまいます。
約9mℓ、抜けました。
ブレーキフルード新旧比較

<ブレーキフルード新旧比較>
左: 抜いたもの
右: 入れるもの (KYK製 ブレーキフルード, BF-4)
リザーバータンクのところで、これだけ変色しているということは、ブレーキキャリパー側はもっと変色しているということ。
こんな状態で、「ブレーキピストン・ブレーキキャリパーの動きを円滑にすると、ブレーキフィーリングに差が出る」と書いた自分が恥ずかしい…
ブレーキフルード補充

<ブレーキフルード補充>
リザーバータンクに、気泡を噛まないよう丁寧にブレーキフルードを注ぎます。
これからマスターシリンダーやホース、ブレーキキャリパー中のフルードを排出するので、上限を気にせず注ぎます。
なお、こぼしても他の部分に付かないようウエスで被っています。
ブリーダーポンプ

<ブリーダーポンプ>
今回、写真のブリーダーポンプを使います。
25年以上使っていますが、未だ現役。
使用頻度は高くないので、上手く使えば一生ものかも。
ブレーキフルード交換準備1
それでは、ブレーキフルードを交換する準備をします。

<ブレーキフルード交換準備1>
- ブリーダーキャップを外し
- メガネレンチ(8mm)で、ブリーダープラグを軽く緩めます
ブレーキフルード交換準備2

<ブレーキフルード交換準備2>
ブリーダープラグに、
- 厚さの薄いコンビネーションスパナーを通して
- ニップルアダプターを取り付けます
ブリーダーポンプをつないだ状態

<ブリーダーポンプをつないだ状態>
こんな感じで、ブリーダーポンプをつなぎます。
タンクの座りが良くないので、ハンガーを折り曲げて作ったホルダーに引っ掛けておきます。
ブレーキフルード交換1

<ブレーキフルード交換1>
ブリーダーポンプをポンピングし、負圧を発生させます。
ブレーキフルード交換2

<ブレーキフルード交換2>
コンビネーションスパナーで、ブリーダープラグを緩めると、ブレーキフルードが排出されます。
そして、リザーバータンクのフルードがなくなる前にプラグを締め付けます。
この時、
- ブリーダープラグのねじ部やニップルアダプターのすき間から吸った空気も一緒に排出されます(ホースの中に気泡が混じる)
- 負圧が掛かっている間は、ブレーキキャリパー側に気泡が逆流することはありません
実は、始めた直後、リザーバータンクのフルードがあっという間になくなり、「キュー」という音とともにエアを吸ってしまいました。(涙)
なので、
- ブリーダープラグを開けた後、数秒で閉める
- フルードを補充する
を繰り返しました。
排出したブレーキフルード

<排出したブレーキフルード>
しばらくすると、タンクにブレーキフルードが溜まります。
結局、60mℓ程抜きました。
そして、ブレーキフルードをリザーバータンクの中程まで(※)、補充します。
※
ブレーキパッドの摩耗が進んだ状態で、フルードを上限まで入れてしまうと、ブレーキピストンを戻した時にリザーバータンクよりあふれてしまうかもしれません。
ブリーダープラグ締付け

<ブリーダープラグ締付け>
ブレーキフルードの交換が終わったら、ブリーダープラグを本締めします。
締付けトルク:6N・mの指定がありますが、私はいつも手感で締めています。
万が一ブリーダープラグが折れたりしたら、後の処理が大変なので…
ブリーダープラグ清掃

<ブリーダープラグ清掃>
ウエスでブリーダープラグに付いたブレーキフルードを拭き取り、パーツクリーナーで清掃します。
その後、ブリーダーキャップを付けます。
部品清掃

<部品清掃>
ウエスで、リザーバーダイヤフラムに付着したブレーキフルードを拭き取ります。
その後、リザーバータンクのキャップとリザーバープレートは、中性洗剤で洗い、水分をマイクロファイバークロスで拭き上げます。
ダイヤフラム他取付け

<ダイヤフラム他取付け>
リザーバーダイヤフラム、リザーバープレートの順に、リザーバータンクに取り付けます。
リザーバータンクのキャップ他取付け

<リザーバータンクのキャップ他取付け>
- リザーバータンクのキャップを締め付け
- リザーバータンクを固定するボルトを締め付けます
右サイドパネル取付け
あとは、右サイドパネルを取り付けて完了です。
詳しくは整備記録「サイドカウル・パネル等の付け方」STEP 17, 18をご覧ください。

ブレーキフルード交換前後比較
それでは、ブレーキフルードの交換前後のリザーバータンクを比較します。

<交換前>
茶色いのが、なんとなく分かりますでしょうか。

<交換後>
あまり、違いが分からないかもしれませんが、無色透明になりました。
次回はもうちょっと早く交換したいですね。
3. まとめ
リアブレーキのブレーキフルードの交換方法をまとめました。
今回、ブリーダーポンプを使いましたが、不覚にもリザーバータンクのフルードを切らし、エアを吸ってしまいました。
R125のフルード容量は想像以上に少なかったので、ぺダルを動かして圧送(交換)しても、そんなに時間は掛からないかもしれません。
次回の交換時に試してみます。
肝心の異音の件ですが、フルードを交換したら解消しました。
フルードが劣化(吸湿)し、ブレーキパッド・ローター側の振動を拾ってしまう(抑えきれなかった)のでしょうか。
- フルードをこぼしても、他の部分に付かないようウエスで被う
- フルードをリザーバータンクに補充する時は、気泡を噛まないように注意する
- リザーバータンクのフルードを切らさないよう注意する
(ブリーダーポンプを使うと、タンクのフルードがあっという間になくなる) - ブレーキパッドの摩耗が進んだ状態では、フルードの補充は中程までにする
- フルードを交換し、停止直前の「キーキー」音を解消することができた