整備記録「フロントブレーキ点検・清掃1【取外し・清掃】」の続きです。

部品の洗浄を終えたので、部品を元に戻します。
取付け時に潤滑剤やグリスを適切に塗って、ブレーキピストンやブレーキパッドの動きを円滑にします。
これらをやると、ブレーキフィーリングに差が出るので、体感してみましょう。
この記事より、以下を知ることができます。
- ブレーキピストンへの潤滑剤塗布
- ブレーキパッドの付け方
- ブレーキキャリパーの取付け方
作業日 | 2023年 9月 16日 |
目的 | メンテナンス・故障・修理 |
Shop or DIY | DIY |
難易度 | |
作業時間 | 1時間 |
費用 | 0円(持っているものを使用) |
1. 使うもの

No. | 名称 | メーカー | 型番 | 数量 | 金額[円] |
1 | ディスクブレーキピストンツール | KTC | AB-10 | 1 | 12,650 |
2 | メタルラバー | CCI | MR20 | 1 | 1,152 |
3 | パーツクリーナー | モノタロウ | – | 1 | 296 |
4 | 鉄やすり | – | – | 1 | 417 |
5 | 汎用グリス | – | – | 1 | 329 |
6 | シリコングリス | ダイゾーニチモリ | N920 | 1 | 1,428 |
7 | プライバー | ストレート | 19-050 | 1 | 1,850 |
8 | 軍手 | – | – | 1 | 329 |
9 | クイックスピンナ | KTC | BE3-Q | 1 | 2,112 |
10 | エクステンションバー (50mm) | KTC | BE3-050 | 1 | 1,485 |
11 | ビットソケット (14mm) | KTC | B3-14 | 1 | 902 |
12 | トルクレンチ (中) | KTC | CMP102 | 1 | (54,450) |
77,400 |

2. フロントブレーキ点検・清掃2【取付け】(STEP1~21)
ブレーキキャリパーピストン作動
それでは、ブレーキキャリパーピストンに潤滑剤を塗る準備をします。

<ブレーキビストン作動>
ブレーキピストンツールをブレーキキャリパーに差し込みます。
そして、ブレーキレバーを数回引いて、ブレーキピストンを出します。※
外側の方が内側より動きが良いようで、ピストンの飛び出しが大きいです。
※
ピストンツール等を挟まずに、ブレーキレバーを何度も引くと、ブレーキピストンが外れてしまいます。
潤滑剤塗布

<潤滑剤塗布>
ブレーキピストンの全周に、潤滑剤を噴き付けます。
(ピンボケご容赦)
リアと同じように潤滑剤がブレーキキャリパーにべっとり付いて、べとべとに。
あまりにひどいので、この後、パーツクリーナーで、全体を掃除しました。
潤滑剤を他の容器に出しておいて、筆やヘラのようなもので、ピストンに塗る方が良さそうですね。
潤滑剤馴染ませ

<潤滑剤馴染ませ>
ブレーキピストンツールを開いて、ブレーキピストンを押し込みます。
そして、ピストンツールを閉めて、ブレーキレバーを引いてピストンを出します。
上記を2回程繰り返したら、ピストンが指で軽く戻るようになりました。
ブレーキフルードの漏れ1
STEP 3の作業後に気が付いたのですが…

<右フロントパネル>
「何かが滴っている!!」
フロントパネルの上に、何かがこぼれています。
ブレーキフルードの漏れ2
すぐさま上を見てみると…

<ブレーキフルードリザーバータンク>
「リザーバータンクのキャップの合わせ目からブレーキフルードが漏れたんだ…」
フルードがリザーバータンクのMAX近くまで入っていたので、ピストンを押し込むことによってあふれてしまったようです。
なので、ピストンを戻す前に、フルードのレベルを確かめ、必要に応じて、抜かなければならないということ。
漏れたフルードはウェスで拭き取り、パーツクリーナーで除去しました。
樹脂コーティングがはがれてしまったのか、フロントパネルの艶がなくなってしまった(涙)
清掃前後比較
話を戻します。

<清掃前後比較>
内側のブレーキピストンの清掃前後を比較します。
左: 前
右: 後
とりあえず、スッキリしました。
ブレーキパッドの面取り
それでは、ブレーキパッドの取付けの準備に入ります。

<ブレーキパッドの面取り>
鉄やすりで、ブレーキパッドの端を軽く面取りします。
再組付け直後に当たりが良くなるようにするおまじないです。
パッドスプリング取付け

<パッドスプリング取付け>
写真の向きに、パッドスプリングを取り付けます。
逆に付けてしまうと、ブレーキパッドが常にブレーキローター側に押し当てられてしまいます。
グリス塗布

<グリス塗布>
左: ブレーキキャリパーを固定するボルトに、錆止めとして汎用のグリス
右: パッドピンに薄くシリコングリス
を塗ります。
ブレーキパッド取付け1
それでは、ブレーキパッドを取り付けます。

<ブレーキパッド取付け1>
- ブレーキパッドをブレーキキャリパーの内側から通します
(ブレーキパッドの内外を意識して、戻します) - Rピンの穴が上を向くように、パッドピンをブレーキキャリパー・ブレーキパッドに通します
この時、パッドスプリングが傾きますが、気にせずパッドピンを通します。
ブレーキパッド取付け2

<ブレーキパッド取付け2>
Rピン(2ヶ所)をパッドピンに差し込みます。
ブレーキパッド取付け3

<ブレーキパッド取付け3>
もう片方のパッドピンをブレーキキャリパー・ブレーキパッドに通します。
この時、パッドスプリングを押し下げて通します。
ブレーキパッド取付け4

<ブレーキパッド取付け4>
そして、軽くプライバーの柄でパッドピンを押し込みます。
ブレーキパッド取付け5

<ブレーキパッド取付け5>
- ブレーキパッドを中央に寄せ
- ピンポンチ(4mm)でRピンを押して、パッドピンを回します
※ピンポンチを押す位置を間違えて写真を撮ってしまいました(汗)
パッドピンを回す量は、Rピンがブレーキキャリパーの背面からはみ出さなくなるまでとしました。
ブレーキパッド取付け後
あとは、再びブレーキパッドを外側へ開き、ディスクローターを挟むすき間を作ります。

<ブレーキパッド取付け後>
こんな感じに仕上がりました。
ブレーキキャリパー取付け1
外す時と同じようにブレーキキャリパーをぶつけないよう、ホイールに軍手等を当てておきます。
そして、ディスクローターを挟むようにキャリパーを取り付けます。

<ブレーキキャリパー取付け1>
ソケット(14mm)にエクステンションバー(50mm)を付けた早回しで、キャリパーを固定するボルト(2ヶ所)を仮締めします。
ブレーキ作動

<ブレーキ作動>
ブレーキレバーを複数回引いて、ブレーキパッドをディスクローターに押し当てます。
これを行っておかないと、最初の交差点で怖い思いをします。
フロントスタンド掛け

<フロントスタンド掛け>
フロントスタンドを掛けて、フロントタイヤを持ち上げます。
(詳しくは整備記録「フロントスタンドの掛け方・外し方」をご覧ください。)

ブレーキキャリパー整列

<ブレーキキャリパー整列>
タイヤを回して、引きずりが少ないブレーキキャリパーの位置を探し、ボルトを仮締めします。
※くれぐれも、指を巻き込まれないように注意
ブレーキキャリパーの位置をわずかに動かすだけで、引きずり加減が結構変わります。
どうやっても引きずりが解消しない場合は、
- ブレーキキャリパーシールの劣化(ピストンが戻らない)
- ディスクローターが歪んでいる
- フロントフォークの整列が取れていない
のかもしれません。
ブレーキキャリパー取付け2

<ブレーキキャリパー取付け2>
トルクレンチで、ボルト(2ヶ所)を締め付けます。(38N・m)
そして、左側のサイドカバーを付けて終了です。
ブレーキキャリパー清掃前後比較
それでは、清掃前後を比較します。

<ブレーキキャリパー清掃前後比較>
左: 前
右: 後
潤滑剤がブレーキキャリパー全体に広がって、テカテカしている感じが…(笑)
見た目に満足できませんが、ブレーキパッド等の状態が確認できたということで、よしとしましょう。
3. まとめ
フロントブレーキの取付け、潤滑剤やグリスの塗布位置、ブレーキパッドの付け方等をまとめました。
潤滑剤を塗布すると、ピストンの動きが良くなるのが分かります。
なので、フィーリングも良くなるのかもしれませんね。
- ブレーキピストンを押し込む前にブレーキフルードの量を確かめ、必要に応じて抜いておくこと
- 組立て前にブレーキピストンに潤滑剤を塗ることをお勧め
- パッドピンにはシリコングリスを塗布する
- ブレーキキャリパーをフロントフォークに締め付ける際は、引きずりが少ない位置で締め付ける